1986-1995年 「らしさのイノベーション」

1986-1995年 「らしさのイノベーション」

売上高172億円に満足せず
オール天龍総力で「味」があるものづくり

激動の時代を総力で駆け抜ける

円相場が急騰した1980年代半ばは、製造業の企業はどこも業績がダウンした厳しい時代。天龍工業もバスシートの国内シェア75%以上という勢いが下降に転じ、「天龍魂」の底力が試されていました。そこで打ち立てた方針が「個人能力の向上と総力化」。バブル景気とその崩壊による平成不況など、日本経済がめまぐるしく変わる中、1991年に「技・営・製オール天龍総力」を掲げて企業体質の一層の強化を推し進めました。1994年には「テンアップ作戦」を展開。前年比10%以上の目標達成に向けて従業員が一丸となりました。

ほかにはない天龍らしい「味」

1991年、激動の時代にもかかわらず、天龍工業は過去最高の売上約172億円を達成。その推進力となっていたのは、堅実な営業努力と、「質」のさらに上をいく「味」がある製品開発でした。新幹線用シートの大量受注やFRP内装、高速鉄道向け超軽量シート、産学連携共同プロジェクトで開発した家庭用フィットネス・システム、「東洋一の大きさ」と謳われた12人乗りゴンドラリフト客車、直径12mものFRP製大型レーダードーム。天龍ブランドならではの美味なる製品の数々が、新時代の到来を予感させていました。

海外との協力関係をより強固に

この頃、天龍工業は海外展開においても新しい局面を迎えていました。1986年、アメリカ・ニューヨークの地下鉄にシートを納入。17種類の座席が3タイプの車両に設置され、品質向上に注力した製造担当者の思いが海を越えて花開きました。1988年には、アメリカの企業とヘリコプター用エネルギー吸収シートのライセンス契約を締結。機能性を高めた特殊座席の生産を開始しました。また、緑化部門では、スイスで開発された環境緑化の最先端工法を1992年に日本で初めて導入し、「花フェスタ'95ぎふ」の会場を彩りました。

TENRYU WAY―挑む天龍魂

車内の状況に応じて使える「独立補助席」を世界初の技術で開発・製品化

朝夕のラッシュアワーに対応し、より多くの人が快適に乗車できるようにしたい――こうした思いを起点に、天龍工業が開発に全力投球したのが、鉄道用の「独立補助席」です。混雑時にはコンパクトに収納され、車両の出入口近くのスペースにゆとりを持たせます。車内が空いているときは簡単に引き出して使え、肘掛け付きで座り心地も良好。日本初、世界初の技術によって、交通環境の向上に貢献しました。

あの日の天龍

1987年7月23日:第1回天龍サマーフェスティバルを開催し
地域の皆様と交流

夏の風物詩として開催されていた「天龍サマーフェスティバル」。その記念すべき第1回は、約1,300名の参加者数を記録するほど、盛大に行われました。オリジナル「天龍浴衣」を身にまとっての盆踊り、カラオケ大会、仮装コンクール、行燈コンクール、バザー、子供映画館など、お楽しみイベントが目白押し。従業員と家族はもちろん、地域の皆様とも交流を深める夏祭りとなりました。

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